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専門家レビューREVIEW

ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた

公開: 2025年1月31日
  • 俳優  小川あん

    70年代にアメリカで「ドリーミン・ワイルド」というアルバムを自主制作した兄弟と仲間を描いた、実話に基づく音楽ドラマ。過去と現在を交錯させながら、名声と家庭、成功と失敗のはざまで揺れる兄弟や家族の絆を描く。良かったのが、主人公のドンは愛に溢れて育った環境だったこと。親は夢を全力で応援し、兄は弟を支えるために側にいる。だからこそのプレッシャーと苦しみ。地味でありながらも、ケイシー・アフレックの哀愁漂う芝居は感動ものだ。ケイシーは田舎町がよく似合う!

  • 翻訳者、映画批評  篠儀直子

    30年前のアルバムが発掘され大バズりとなれば手放しで喜びそうなものだが、そうはいかない事情が主人公にはある。10代の自分との対峙、兄との立場の差など全部映画的に表現されていたのに、クライマックスで台詞で語りなおされてしまうのは残念な気もしたが、場面の状況的に仕方ないか。それでも語り口に「アメリカ映画」としか言いようのないしみじみとしたよさがある。「サバービコン」以来何となく動向を気にしているノア・ジュプが、歌声も聴かせ、健在ぶりを披露しているのが個人的にうれしい。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授  菅付雅信

    70年代にデビューしたもののまったく世間から評価されなかった兄弟デュオが30年後にコレクターから再評価され、再発と記念ライブが決まる。しかし、それは兄弟にとって過去と深く向き合うことだった。「夢追い人」であるデュオの弟とそれを支える父、諦めつつある兄との確執や和解が、芳醇な感情のタペストリーのように描かれる。最後の時代を超えたライブの描写が素晴らしく、商業的な成功よりも自らの表現や人間関係の成熟を選んだ姿勢にポスト資本主義な豊かさを感じる。

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ザ・ルーム・ネクスト・ドア

公開: 2025年1月31日
  • 俳優  小川あん

    大女優二人が戦争記者、小説家という役柄を通じて、それぞれの経験に裏打ちされた人生観・死生観を語り合う。死 (または生) への強い欲望を描くことを、エモーショナルにせず、ほぼ語りのような会話と束の間の沈黙で表現する。そして顕わになる、若かりし頃の二人の仕事への気概、誇りが説得力を与える。描写まで浮かぶ。わたしも歳を重ねて、この境地までいきたいと俳優人生と向き合わなければいけない。アルモドバルが70代にして初の英語劇ということで、想像を超えた静かな傑作だった。

  • 翻訳者、映画批評  篠儀直子

    アルモドバルの色彩豊かな画面で語られる、死についての思索。ジョイス/ヒューストンの「ザ・デッド」への美しい言及があり、死を間近に見据えた人間の運命が、死を目前にしているかもしれない地球の運命と、不意に連結される瞬間もあり。とはいえ最大の見どころは、舞台劇のように会話が続く作品世界を隙なく支える、ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアの安定感と凄み。娘ミシェルとの関係が良好であったならマーサの選択は変わっていたのかもしれないと思うと、何とも言えない気持ちに。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授  菅付雅信

    アルモドバル監督初の英語作でT・スウィントンとJ・ムーアという名女優の共演。病に侵され安楽死を望む女性とその親友で最後を見届けようとする女性の数日間を描く。名作になりそうな材料が揃いながらも、アルモドバル流の色彩美学が強調され、インテリア雑誌のファッション・シュートのような場面が連続する表層性。彼女らの元恋人で悲観主義のインテリ男(ジョン・タトゥーロ)が今の世界への気障な嘆きを語るが、映画全体が上流階級の優雅で軽薄な悲観主義に終わっており、その価値観を肯定し難い。

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BLUE FIGHT ~蒼き若者たちのブレイキングダウン~

公開: 2025年1月31日
  • 文筆家  和泉萌香

    「ごくせん」や「ROOKIES」もろもろ、私が小学生、中学生頃の「不良ドラマブーム」はすごかったと記憶しているが、いつの間にかすっかり見なくなり、「ツッパリ」どころか「不良」も死語に近づいているのだろうか(最近の不良はそういった格好をしていないと記事で読んだことがある)。物語はいたって紋切型の青春エンターテイメントで、全篇「ネット界と映画界のコラボ」の印象にとどまるが、今回が初主演の木下暖日、吉澤要人の溌剌とした姿は眩しくこれからが楽しみ。

  • フランス文学者  谷昌親

    「クローズZERO」のスタッフやキャストが参加しているという触れ込みのせいで、最初から最後まで殴り合いをしている映画なのかと思いきや、少年院での出会いから始まるドラマとして描かれていて、不良少年ものであるとはいえ、直球すぎるほどの青春ドラマとなっている。三池崇史監督の瞬発力は随所に感じられはするが、ブレイキングダウンそのものも含めて、青春ドラマ的な親和力のなかにすべて包み込まれてしまった。「DEAD OR ALIVE」シリーズのような圧倒的爆発力が懐かしくなる。

  • 映画評論家  吉田広明

    格闘技の試合に出場しようとしてどん底から立ち上がる少年二人と、彼らに敵対する者たちとの人間模様。最近多い不良少年抗争ものに関心のない当方でも興味深く見られたが、それにはこれが類型的物語であることも寄与してはいて、「拳で語る」という言い回し通り、殴り合いの中で互いを理解してゆき、最終的に悪人はいなくなる予定調和の展開。新人である主演の二人はじめ少年たちが見知らぬ顔なのが生々しい感触でよいだけに、カメオ出演の多さは正直鬱陶しいし醒める。

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スケジュールSCHEDULE

映画公開スケジュール

2025年2月21日 公開予定

あの歌を憶えている

記憶に翻弄されるふたりが出会い、新たな人生と希望を見つける姿を静かに描くヒューマンドラマ。シングルマザーのシルヴィアは、若年性認知症による記憶障害を抱えるソールのケアをすることになり、次第に彼に惹かれてゆく。だが、彼女もまた過去の傷を秘めていた。出演は「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステイン、本作で2023年・第80回ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞したピーター・サースガード、「マーウェン」のメリット・ウェヴァー。監督は「ニューオーダー」のミシェル・フランコ。

犬と戦争 ウクライナで私が見たこと

戦禍のウクライナで動物たちの命を救おうと奮闘する人々を追ったドキュメンタリー。「犬に名前をつける日」の山田あかね監督が、約3年にわたりウクライナへ通って取材した。戦場で生きる犬たちの様子、そして戦場で《戦うこと》ではなく《救うこと》を選んだ人々に迫る。ナレーションは自身も保護犬と暮らし、猟師として日々命の現場に立つ東出昌大が務めた。

ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク

2024年7月6日から2025年1月18日まで放送された円谷プロダクション制作による特撮テレビドラマ『ウルトラマンアーク』の劇場版。謎の宇宙人サスカルが告げた言葉によって、ある使命がユウマに襲いかかる。時空さえも歪められた超次元の中で、ユウマはウルトラマンアークに変身。黒いアークの姿をしたギルアークと、光と闇の大決戦を繰り広げる。テレビ版に続き、辻本貴則監督をはじめ、戸塚有輝、金田昇、水谷果穂、西興一朗といったスタッフ・キャストが再結集。謎の宇宙人サスカルを竹中直人が演じる。

TV放映スケジュール(映画)

2025年2月16日放送
18:30〜20:54 BS日テレ

極道の妻たちII

19:00〜20:45 TOKYO MX

大夜逃 夜逃げ屋本舗3

21:00〜22:54 BS日テレ

96時間

2025年2月17日放送
03:00〜04:55 テレビ東京

ブルー・ダイヤモンド

13:00〜15:10 NHK BSプレミアム

ボディガード(1992)